カテゴリー別アーカイブ: ■ 日本語教師の参考文献

『わかる!! 日本語教師のための応用認知言語学』


荒川洋平 森山新 (2009 凡人社)
わかる!! 日本語教師のための応用認知言語学

応用認知言語学の入門書を読んでみました。

認知言語学では、人は膨大な言語の使用に触れながら、よく使われるものはそのまま固まりとして覚え(語彙、決まり文句など)、パターンのあるものからは規則(文法)を発見し、ボトムアップのプロセスで言語を習得していくと考えます。

子どもが母語を身につけていくプロセスを考えてみると、うなずけると思います。子どもは文法を習うこともなしに、周囲にあふれている「具体例」の中から言語の体系を見つけていきます。

大人が外国語を学ぶ場合には、もちろん赤ちゃんのようにはいきません。

ただ、大人の外国語習得であっても、やはり人間の「認知」の力と、言語の習得は密接な関係にあるので、「認知言語学」の要素をうまく授業に取り入れれば、より効果的な学習をサポートすることができそうです。

たとえば、文法の教え方については、こんなことが書いてありました。

「具体的な語や文の例を豊富に学習者に与え、その上で文法が自力で容易に帰納できるような手助けをすることが重要である。(p.99)」

日本語を教えるとき、ついつい文法や文型などの「規則」を一方的に提示してしまうことがありますが、学習者の「気づき」を促して、規則や用法を見つけてもらうというプロセスを大事にすると、文法ももっと楽しく、定着しやすいものになるのではないかと思いました。

一部難しいところもありますが、内容がもりだくさんで、ためになる一冊です。

 
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『外国語学習の科学 ― 第二言語習得論とは何か』

 
白井恭弘 (2008)
外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)

「人はどのように外国語を身につけるのか」という問いに対して、世界では様々な研究が行われています。

この本は、第二言語習得のメカニズムを科学的に解明しようとする研究の流れを追ったうえで、「ではどんな教授法、学習法が効果的なのか」を解説してくれる第二言語習得論の概説書です。

日本語教師の立場からも、ひとりの外国語学習者の立場からも、とても興味深く、役に立つ一冊でした。

内容を少し紹介すると
「どんな学習者が外国語学習に成功するか」という章では、外国語学習が成功するかどうかは、おもにこの三つの要因によって決まると書かれています。
1.学習開始年齢
2.適性
3.動機づけ

「動機づけ」が成功を左右するいうのは、日本語教師をしていても、自分自身が外国語を勉強していても、つくづく感じることです。

なにせ、外国語を身につけるというのは、並々ならぬ大仕事です。
日本語を勉強中のみなさんも、その大変さを痛感していると思いますが、続けていくには「動機づけ」を維持することが欠かせません。
いかに「動機づけ」を高めていけるかが、成功の鍵なんですね。

「どうしてその外国語ができるようになりたいのか」
数年続けているうちに、当初の目標をつい忘れてしまいがちですが、ときどきは初心にかえって、自分の「動機」を見つめなおすのが大切なのかもしれません。

教師の立場からも、学習者の動機づけを高めていけるような授業を目指さなくてはいけないと感じました。

本の最後はこんな言葉で終わります。

「外国語を学習することは究極的には異文化との意思伝達が目的です。世の中には、意思がうまく伝わらないことでおこる問題が沢山あります。外国語学習がより効率よく行われることが、世界の様々な問題の解決にも多少寄与するのではないかというのが、楽観的ではありますが、筆者の希望するところです。(p.184)」

外国語学習が、いつかは「世界の様々な問題の解決に多少寄与」するかもしれないと思うとちょっとやる気が出ませんか。

 
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