カテゴリー別アーカイブ: ■ 本を読もう/Books

本を読もう 8 「舟を編む」


 『舟を編む』 三浦しをん

2012年に 本屋大賞を 受賞した、『舟を編む』という 小説を 読んでみました。

(本屋大賞とは、全国の書店員さんたちが、「いちばん売りたい本」を 選ぶ 賞のことです。) 

辞書作りに 情熱を注ぐ(そそぐ) ある出版社の 辞書編集部の人たちが、『大渡海』という国語辞典を 十数年かけて 編纂(へんさん)していく お話です。

「とにかく 辞書のことばかり 考えている」ちょっと変わった人たちの 懸命(けんめい)な日々が、おもしろ おかしく 描かれています。

言葉を ひろい、整理し、辞書に 載せるべき 言葉を 選別し、ひとつひとつの 言葉の もっとも 的確な 説明と 用例を 繰り返し 検証(けんしょう)していく という、気の遠くなるような 辞書作りの 作業。

【右】を なんと 説明するのか。
【のぼる】と【あがる】の違いを どう 示すのか。
【愛】や【恋愛】の語釈は、本当に これで いいのか。

終わりの 見えない 言葉との 格闘(かくとう)が 続きます。

広く深い「言葉の海」を渡る すべての人のために、長く安心して乗れるような いい「舟」=「辞書」を作りたい。その信念を持って、辞書編集部の人たちは、めげずに こうした地道な 作業を 続け、一冊の 書物を 作りあげていきます。

辞書完成の 瞬間は、感動です。

日々 言葉に 向き合っていながら、好きな人への 想いを「うまく言葉にできない」ことに 悩む 主人公も 魅力的でした。

おもしろい小説なので、みなさんも ぜひ 読んでみてください。

映画化されて、ちょうど今月公開されるようです。
http://fune-amu.com/


 
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本を読もう 7 「二人が睦まじくいるためには」


二人が睦まじくいるためには

七冊目にご紹介するのは、詩人(しじん)吉野弘(よしの ひろし)さんの作品を集めた詩集(ししゅう)です。
吉野弘さんは、1926年生まれの日本の詩人です。

詩集を開くと、まずひとつ目は「祝婚歌」という詩で、これは結婚式のスピーチなどでも引用(いんよう)されることの多い、吉野弘さんの代表作です。
この「祝婚歌」という詩は、詩集のタイトルでもある「二人が睦まじく(むつまじく)いるためには」という文で始まります。

はじめの八行を引用します。

二人が睦まじく(むつまじく)いるためには
愚か(おろか)でいるほうがいい
立派(りっぱ)すぎないほうがいい
立派(りっぱ)すぎることは
長持ち(ながもち)しないことだと気づいているほうがいい
完璧(かんぺき)をめざさないほうがいい
完璧(かんぺき)なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい

・・・と続いていきます。本当にいい詩です。


もうひとつ、「生命は」という詩の一部をご紹介します。

生命は
自分自身だけでは完結(かんけつ)できないように
つくられているらしい
・・・・・
生命は
その中に欠如(けつじょ)を抱き(いだき)
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如(けつじょ)を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
・・・・・

私も あるとき
誰かのための虹(にじ)だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない


この他にも、娘さんたちへの想いを込めた詩や、奥さまのことなのかな、と思わせる詩など、どれも心あたたまる詩ばかりです。

私が吉野弘さんの詩を知ったのは10年ぐらい前のことでしたが、好きになってから、よくよく考えてみると、国語の教科書などにも作品が載っていた気がします。
吉野弘さんの詩は、言葉がとても優しくて、読んでいるとあたたかい気持ちになって、ちょっと眠くなるような、そんな詩が多いと思います。
外国語で詩を読むのはむずかしいと思っている方も多いと思いますが、わかるところだけ読んで、わからないところは気にしないで、そんなふうに読んでも十分に楽しめる詩集です。

 
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本を読もう 6 「二十歳のころ」


二十歳のころ〈1〉1937‐1958―立花ゼミ『調べて書く』共同製作 (新潮文庫)
二十歳のころ〈2〉1960‐2001―立花ゼミ『調べて書く』共同製作 (新潮文庫)

この本は、東京大学の学生たちが、日本の多くの著名人(ちょめいじん)にインタビューをして、その内容を本にまとめたものです。インタビューの内容は、「二十歳のころ、どんなことを考えていて、どんなことをしていたか」というもので、インタビューを受けたのは、小説家、音楽家、医者、俳優(はいゆう)、経営者、漫画家(まんがか)など、さまざまな分野で活躍(かつやく)している人たちです。

東大の学生たちを指導(しどう)していた、立花隆(たちばな たかし)さんという方が、本のはじめに、こんなことを書いています。

「やっぱり二十歳のころというのは、どの人にとっても、その人の人生が不定形の可能性のかたまりから、ある形をなしていく過程での最もクリティカルな時期なのである。
(中略)
また、世界の広がりを知る上で何より大切なのは、人間の多様性について知ることである。そのとき注意すべきことは、人間のフィジカルな存在としての多様性について知ることも大切だが、それ以上に、メンタルな存在としての人間の多様性について知ることが大切だということである。つまり、人間の心の中の多様性について知れということである。

それを知るためには、他者と本格的に出会わなければならない。」

わたしは、もうすぐ二十歳になろうとしていた頃に、友だちの紹介でこの本を読みました。そして、この文章にとても大きな影響(えいきょう)を受けました。そんな思い出の一冊です。

インタビューひとつひとつは、そんなに長くもなく読みやすいので、読んでみたいと思う人のところだけ読んでもいいと思います。さまざまな分野で活躍(かつやく)する日本の有名人を知るのにも、いい本です。
今、ちょうど二十歳前後の方にはもちろん、どなたにもおすすめの本です。

 
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