本を読もう 11 「じぶんのための子守唄」


工藤直子『じぶんのための子守歌』 PHP研究所

「そばにいる」

せなかにのこる
「てのひら」の記憶がある
まいごになった
わんわん泣いた
五歳のわたしの肩のまんなか
ちいさなくぼみをさすってくれた
おおきな「てのひら」
  だいじょうぶ そばにいるからね
  だいじょうぶ そばにいるからね
「だいじょうぶ」という ことばにゆられて
五歳のわたしは泣きやんだ
「そばにいる」それだけでうれしくて
  だいじょうぶ そばにいるからね
  だいじょうぶ そばにいるからね
「てのひら」から伝わった
あれは なにだったのだろう

もしかして ひとはみな
こころの ふかいところに
ちいさな海を 持っているのかな
そしてそれは あつまって
ひとつの おおきな
海になっているのかな
「だいじょうぶ」と ささやきあう
―――そんな海
「そばにいるからね」と うなずきあう
―――そんな海


「双子の心」

「はい」といったら ウソになってしまう
「いいえ」といっても ほんとうではない
「はい」と「いいえ」のあいだに
100万の 虹色の 答えがある
  それが「こころ」っていうもんさ
  「はい」と「いいえ」の双子の心

「おお笑い」のおくに 悲しみの泉がわき
「おお泣き」のはてに 希望のカケラが浮かぶ
「おお笑い」と「おお泣き」のあいだいに
100万の 虹色の 人生がある
  それが「こころ」っていうもんさ
  「わらい」と「なき」の双子の心


この本に のっていた 詩を ふたつ ご紹介しました。

工藤直子(くどう なおこ)さんという人を わたしは 先週 初めて 知りました。今年 78歳の おばあさんだそうです。

工藤直子さんを 知った きっかけは 日本語の 教科書です。
『初・中級学習者向け日本語教材 日本文化を読む』という 日本語の 教科書に、「てつがくのライオン」という 作品が のっています。その作品が すっかり 気に入った わたしは、 この 教科書を 読んだ 次の日、 図書館で 工藤直子さんの 本を 探しました。

そうして 読んだのが この本です。

やさしい 言葉が つまった 詩集です。みなさんも ぜひ どうぞ。

 
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