本を読もう 12 「サラダ記念日」


俵万智『サラダ記念日―俵万智歌集』

「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日は サラダ記念日

俵万智(たわら まち)さんの 短歌集(たんかしゅう)『サラダ記念日(きねんび)』を 読みました。

25年前に 出版されて、ベストセラーになった 有名な本です。

俵万智さんは、短歌(たんか)を 詠む(よむ) 歌人(かじん)です。

短歌とは、音の数が 決められている 詩(し)のことで、歌とも いいます。

「5・7・5・7・7」の 31文字というのが 決まりです。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

この歌も、5・7・5・7・7 です。

このあじが(5)
いいねときみが(7)
いったから(5)
しちがつむいかは(7)
さらだきねんび(7)

作品を いくつか ご紹介します。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海

妻のこと「母さん」と呼ぶためらいのなきことなにかあたたかきこと

会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く

駅員の「お疲れサマ」という言葉微妙に届く心の疲れ

何気ない 日常が 歌に よまれています。


実はこの本も、日本語の教科書がきっかけで読みました。

『初・中級学習者向け日本語教材 日本文化を読む』という 教科書に、この ふたつの歌が のっていました。

「また電話しろよ」「待ってろ」いつもいつも命令形で愛を言う君

「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの


「あとがき」の中で、俵万智さんは、こんなことを書いています。

「表現手段として、私は歌を選んでいる。惚れてしまったのだ、31文字に。1300年間受け継がれてきた、57577という魔法の杖。定型のリズムを得た言葉たちは、生き生きと泳ぎだし、不思議な光を放つ。その瞬間が、好きなのだ。」


「なんてことない24歳。なんてことない俵万智。なんてことない毎日のなかから、一首でもいい歌をつくっていきたい。それはすなわち、一所懸命生きていきたいということだ。生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。」

24歳だった俵万智さんの、短歌への情熱がすてきです。

 
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